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Channel: 花酔いの語り部
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植物マニア病

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おそらく、 植物マニアは貪欲だ。
いろいろな品種が次から次に欲しくなる。
置き場所も手狭になっていく。
種を播こうものなら、更に大量の苗を抱え込むことになる。
いずれ、、管理できる限界を超えてしまう。
植物を育てる楽しみに余裕がなくなったりする。
枯らした苗は数知れず、空鉢が積み重なる。
それでも、次から次に、いろいろな種類が欲しくなる。
 
 
     ・・・・人はどれだけの土地が必要か・・・・リメーク版
        フール・オン・ザ・ヒル(丘の上の愚か者) ビートルズ・・・
 
 
トルストイ原作
 
 
 
ある日、貧しい農夫が不思議な老人と出会った。
 
老人は丘から見渡す広々とした景色に向かって杖で輪を描き、農夫に言った。
 
「ここからひとまわりして、日が暮れるまでに帰ってきた土地のすべてを
 
おまえさんにくれてやろう」
 
 
わしの土地があれば、明日の心配はしなくてすむ。
 
ささやかでも、食うに困らなければ、それだけでも充分というものだ。
 
ほんの少しの土地さえあれば。
 
 
願ってもないことに、農夫は嬉々として
 
丘を下って歩きはじめた。
 
 
林の中は木が生い茂っていた。
 
これだけ多くの木が、わしのものになるということか。
 
 
林を抜けると、広々とした草原が開け、小川の水が豊かに流れていた。
 
この土地も、わしのものになるのなら、小麦がいっぱい収穫できる。
 
牧草も豊かに茂れば、牛も多く飼える。
 
 この土地も、その先の土地も、その先の先の土地も、
 
わしのものになるのだ。
 
 
思えば遠くに来たもんだ♪
 
陽が傾くころ、丘は遥か遠くの彼方にあった。
 
 
急げ、急げ。 急いで引き返さないと、すぐに陽が沈んでしまうぞ。
 
夕陽に向かって走れ【映倫】
 
血だらけの足をひきずり、血へどを吐くほどに疲れ果て、
 
よろめきながら、残る力をふり絞り、
 
丘の上に向かって一目散に駆け登った。
 
 
おお、どうにか間に合った。
 
ひとまわりしてきた土地は全部、農夫のものになった。
 
明日からは貧しい暮らしとはおさらばだ。
 
 
が、しかし・・・、
 
 沈む夕陽を眺めながら、力尽き果て、ばったり倒れた農夫は
 
再び立ち上がることなく息絶えた。
 
 
農夫にとって必要な土地、
 
それは棺桶を埋めるだけの土地だった。
 
 
 
 
 昔、教科書で習った記憶と、あらためてネットで検索した本来のストーリーとは
 
内容が相違しております。
 
 
 
 

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